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少年時代の趣味は「ゴルフクラブを手作りすること」某有名マンガの主人公をほうふつとさせるエピソードを持つのが他でもない豊田だ。大工職を7年経験したあと平成9年に西村組へ。以来、天性のものづくり精神を数々の現場で発揮してきた。湧別の防砂堤工事も例にもれず。砂という砂を止め続けて、漁業関係者の脅威を打ち砕いた。
少年時代の趣味は「ゴルフクラブを手作りすること」
某有名マンガの主人公をほうふつとさせるエピソードを持つのが
他でもない豊田だ。
大工職を7年経験したあと平成9年に西村組へ。
以来、天性のものづくり精神を数々の現場で発揮してきた。
湧別の防砂堤工事も例にもれず。
砂という砂を止め続けて、漁業関係者の脅威を打ち砕いた。
オホーツク海に注ぐ一級河川「湧別川」。その河口に、潮流や川の流れが原因とみられる漂砂が発生していた。そこは、湧別漁港を拠点にする漁船の出入り口。船底に触れる高さまで漂砂が堆積すると漁船が通れなくなり、漁業に被害が出るほか、重大な事故につながりかねない。そのため西村組は毎年、漂砂を取り除く浚渫工事を行なっていた。しかし......。
漂砂の量は年々増すばかり。年に2、3回の浚渫工事では間に合わないときがくるのではないか。だったら漂砂自体を減らしてしまおう。そうして始まったのが防砂堤の新設工事だ。陸から基礎捨石を投入して被覆ブロックを重ねていき、沖からは基礎捨石でつくったマウンドの上に型枠を設置してコンクリートを打ち込んでいく。2方向から、完成を目指した。
時化との戦いだった。特に沖側は時化の影響を受けやすく、設置途中のブロックが翌朝にはずり落ちているなどの不測の事態に見舞われた。このままでは工期内に完成させることができない……。そこで、時化が予測される前日は開始時間を早めることや、コーナージャッキを用いて型枠の取り付け取り外し作業を簡略化するなどの工夫をし、工期の短縮を目指した。
柔軟なスケジューリングと技術の工夫。積み重ねてきたノウハウを生かして工期内に竣工させ、漂砂の削減に成功した。これで湧別漁港を出入りする漁船にとっての障害はなくなり、海産物の生産量に影響が及ぶ前にリスクを取り除くことができた。また、年2、3回行う必要があった浚渫工事が、年1回で済むようになった。
防砂堤ができる前、船底がこすれるくらいの高さまで漂砂が積もっていました。それって、いつ通れなくなってもおかしくない状況なんです。本当に助かりました。
他にも漁港に入ってくる波がおだやかになったので、係船が破損する心配もなくなりましたし、防砂堤の内側にできた砂州でホッキ貝の稚子が獲れるようになったんです。西村組さんはいつも漁業関係者の都合に合わせてスケジュールを組んでくれます。本当に感謝しています。
地元漁師 加藤保典さん