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水産加工場から西村組に移籍した期待の中堅。「こっちに来てから、自分はできない人間なんだと痛感しています......」と自虐するが、マジメな人柄と正確な仕事ぶりで信頼を積み重ねている。平成30年には職長に就任。毎年半年以上の時間をアサリ礁に費やしており、その知識量で右に出るものはいない。そんな坂本は今日も、「アサリ礁は西村組しか持っていないノウハウ。もっと発展させていきたい」と鼻息を荒くしている。
水産加工場から西村組に移籍した期待の中堅。
「こっちに来てから、自分はできない人間なんだと痛感しています......」と自虐するが、
マジメな人柄と正確な仕事ぶりで信頼を積み重ねている。
平成30年には職長に就任。毎年半年以上の時間をアサリ礁に費やしており、
その知識量で右に出るものはいない。
そんな坂本は今日も、「アサリ礁は西村組しか持っていないノウハウ。
もっと発展させていきたい」と鼻息を荒くしている。
北海道といえば豊富な水産資源。しかしそれらの生産量は環境の変化に左右されるため、安定して獲れ続けるとは限らない。よって生息環境に変化が生じても安定した漁獲を得られる体制づくりが必要だった。そこではじまったのがアサリを育てる干潟の人工造成工事だ。本州や九州に比べて自然の干潟の面積が小さい北海道でアサリを安定的に確保できるようにするのが目的。昭和61年。まずは別海町尾岱沼地区に、最初の干潟を造成した。
人工干潟の造成は自然の干潟を改良するよりも費用がかかる。一方で、アサリが抱卵するために必要な適温が得られることや、浮泥を除去する手段として上潮、下潮の掃流力を利用できるなどの利点がある。それらの要素をもとに勘案し、人工干潟の造成を選択した。従来は設置に時間がかかる矢板や地盤の凹凸に合わせなければならない異形ブロックで造成していたが、砂を充填したチューブで囲いをつくる「サンドチューブ工法」を独自開発。別海地区では平成6年より実用化され、工期の短縮とコストの削減を実現した。
サンドチューブの設置場所は船が近づけない水深約40センチの浅瀬であるため、直径50センチ〜125センチ、長さ約20メートルという巨大なチューブを人力で運んで設置しなければならなかった。加えて1日の作業時間が干潮時に限られているほか、秋に河口付近へ集まってくる鮭に被害が及ばないように9月までに竣工しなければならないなど、浅瀬ならではの苦労が潜んでいた。それでも、作業が可能な時間に集中的に施工することで、工期内に竣工してみせた。
最初にアサリ礁が設置された昭和61年以降北海道のアサリの漁獲量は安定し、1%にも満たなかった全国シェアが現在は15%を超えた。年々大きくなる1個あたりのサイズに比例して価格も高まっている。また、独自開発したサンドチューブ工法は特許を取得。いまでは別海だけではなく浜中町、根室市、サロマ湖といった他の地域に設置場所を拡大しており、水産業の一助となっている。