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現場一筋25年。未経験で入社しながら西村組の作業員ではただ一人の「一級土木施工管理技士」資格保有者だ。ズバ抜けた勤勉さと確実な仕事ぶりで魚礁移設をはじめとする数々の工事を成功に導いている。「伊藤に任せておけば間違いない」が上司の合言葉になるほど、絶大な信頼を寄せられている。
現場一筋25年。
未経験で入社しながら西村組の作業員ではただ一人の「一級土木施工管理技士」資格保有者だ。
ズバ抜けた勤勉さと確実な仕事ぶりで魚礁移設をはじめとする数々の工事を成功に導いている。
「伊藤に任せておけば間違いない」が上司の合言葉になるほど、
絶大な信頼を寄せられている。
平成18年。気候変動が原因とみられる史上最大級の大時化の影響で、沿岸部で養殖していたホタテの稚貝資源が失われた。北海道のホタテの漁獲量は全国シェア99%以上。同規模の時化が起きるたびに同じ被害を受けるようでは、日本の食卓が脅かされる。漁業協同組合から「ホタテを守りたい」と連絡を受けた西村組は、すぐに対策を検討し始めた。
この時は独自開発の「大水深ブロック撤去工法」により、時化の脅威に打ち勝つことができた。それから5年後の平成29年。ホタテ漁場を沖に広げたいと新たな依頼が。しかし沖には多数の魚礁ブロックが設置されており、定められた期間内での撤去と沖合への再設置は困難を極める事が予想された。そこで海底の魚礁ブロック位置を正確に測定できる最先端技術と「大水深ブロック撤去工法」をコラボ。これが魚礁を撤去して漁場を広げ、魚礁ブロックを再利用する「魚礁ブロック移設工法」である。
「魚礁ブロック移設工法」完成までの道のりは険しかった。魚礁ブロックをつかむバケットに付いているカメラとライト。それらと船上を繋ぐケーブルに2つの課題があった。1つは波が強いと切れること。もう1つはライトの電池を長持ちさせる強さの電気に耐えられないこと。これらを解消するためにメーカーと交渉し、それまでにない強度の特注ケーブルの生産、導入に成功。担当者の熱意がもたらした新しい技術が積み重なり、ついに魚礁移設工事が実現した。
過去に設置した魚礁をさらに沖合に展開、移設したことにより海産物の水揚げ量増加に貢献した。また令和3年度中には移設により利用できるようになった海域で新たにホタテの養殖がスタートする予定。その養殖が成功すれば数億円の設備投資に対して10倍以上のリターンが得られるという試算を漁業協同組合が出している。「魚礁移設工事」は西村組だけではなく、漁業協同組合、ひいては北海道全体に明るい話題を届けられるポテンシャルを秘めている。