大きな話題を呼んだ大水深ブロック撤去工法を用いた事業は
2012年を最後に終了した。
それから5年。
爆弾低気圧の増加に伴い
海産物が被害を受ける大規模の時化が増加傾向に。
西村組は再び動いた。
漁業協同組合から、漁場を時化の影響が及ばない深さの海域まで広めたいとの依頼を受けました。その海域には魚礁ブロックが設置されていたため、まずはそれらを移動させる必要があったのです。しかし「大水深ブロック撤去工法」で撤去していた場所よりも魚礁ブロックの数が多かったため、魚礁ブロック沈設場所を特定する高度な測量技術を新たに開発することが求められました。
作業船に曳航された送受波器から海底に音波を発信することで海底面の起伏を把握できる「マルチビームソナー」や、発信した音波が海底で反射したときの強度をもとに細かな海底面の底質まで把握できる「サイドスキャンソナー」を活用することで、海上にいながら大量の魚礁ブロックの設置場所を特定することができるようになりました。
大水深ブロック撤去工法では当たり前だった、1回あたり1時間以上かかる錨のセット作業を廃止。また、魚礁ブロック沈設箇所の正確な位置情報とGPS装置を駆使することで、特定した魚礁ブロックの設置場所に対して効率的にバケットを下ろすことができるようになりました。これにより、魚礁ブロックを掴み上げて移設するまでのスピードを飛躍的に高めることができたのです。※2021年に特許を取得
これまで活用されていなかった水深部に魚礁を設置したことで海産物の水揚げ量増加に貢献することができました。
交通船や補助船を必要とせず作業船のみで施工できる工事のため、経済的な施工が可能となり、西村組にとって欠かせない事業の1つになりました。